HAL-KURSK 制作四方山話

タイトル通りです。思いつくまま、気の向くまま、ランダムに書きます。コメントやご質問は大歓迎です。
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尺八の少しマニアックな話
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     「或る悲しい一日」の尺八パートを録音したのは確か2007年の年の瀬の事だったと思う。(生楽器に関してはほぼこの時期に収録した。)当然、冬ということになるが、実は冬場はあまり尺八の演奏ににとって快適な時期とは言えないと認識している。理由は気温が低い事に加えて湿度も低い事にある。そもそも気温が低いと尺八の特性としてピッチ(音程)が下がりぎみになる。更に湿度が低いとどうしても鳴りが悪くなる。これは、いわゆる尺八の「割れ」が低温で空気の乾燥している冬場によく起きる事と関連があるように思う。(メカニズムについては良く解らないが。)因みに「割れ」を防ぐには加湿器や室(むろ)などで湿度を保つしかないとされている。即ちその逆を考えれば、尺八の演奏に適した環境とは高温多湿の梅雨時辺りということになる。

    このように季節によって楽器の状態が大きく影響を受けてしまう尺八であるが、抜本的な対策を講ずるならばワンシーズンごとに一本ずつ、というか取り合えず夏用、冬用、そして春秋用と三種類の楽器を用意しておくのがベストとされる。鳴りやピッチに関してそれぞれの季節ごとに調性された楽器を使い分けるという訳だ。経済的に問題が無いのならそれはそうだと思うが、そうもいかない場合はどうするかというと、春秋用を標準楽器と位置付けて、それで何とかするしかない。即ち夏場は少し音程を低めに吹く(メリ吹き)、冬場は少し高めに吹く(カリ吹き)、そして春と秋は楽器本来の音程のまま吹く、という按配だが、実際に私の関わっている製管師の方は、特注されない限りそのような状態を想定して楽器を製作されているそうだ。またピッチの調整の為に楽器の中継ぎ部分を僅かに抜き差しする方法もあると聞き及ぶが私自身は試していない。(ピッチバランスの問題は生じないのだろうか?)

    洋楽器の多くにとって一般に日本の風土の多湿がマイナス面とされる中で、高温多湿を好む尺八という楽器は、その意味でも極めて日本的と云わざるを得ない。(但し近年はエアコンなどの人工的な影響で夏場でも割れる事があるそうなので注意が必要だ。)
    ということで、「或る悲しい一日」を冬場に演奏する事は多分無いだろう。・・・冬用尺八持っていません・・・・・。
    | かまた | 楽器 | 01:34 | comments(0) | trackbacks(0) |









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